■My Bangkok Life〜暮らしてわかったマイペンライの国

増成 ヒトミ
(ますなり・ひとみ)


1968年生まれ。埼玉育ち。大学卒業後勤め人を経て、97年からタイのバンコク在住。几帳面を絵に書いたような性格が、タイに来てから後天性マイペンライ症候群に。「ヒトミのバンコクな毎日」もどうぞ。



第1回:イントロダクション〜バンコクとの出会い
第2回:住んでみる―意外と快適な住宅事情
第3回:食べてみる・前編―辛い料理は好まれない?
第4回:食べてみる・後編―屋台料理をエンジョイしよう
第5回:移動する・前編―陸の救世主はバイクタクシー
第6回:移動する・後編―渋滞知らずの水上交通


■更新予定日:毎週木曜日

第7回:着てみる―足長スレンダーVS胴長短足

更新日2002/10/17


タイ人は日本人より平均で5センチ、足が長いそうだ。確かに街を歩く人を後ろから眺めてみると、腰の位置が日本人よりはるかに高い。しかもお尻というか骨盤が小さめで、“すらり”という形容詞がぴったりのスタイルをしている。

足の長さだけじゃない。タイの人は全体的に見て骨格が小さい。特に女性は、肩幅も胴回りも、どうしてそんなに小さいのと言いたくなるくらいこぢんまりとしている。それとも日本人は皮下脂肪がつきすぎているのだろうか。

欧米人のように髪や肌の色が明らかに日本人と違う場合は、体格の違いもごく当たり前のこととして受け入れられるけど、同じアジアの人間でこれだけ差がついているのはなんだか不公平のような気がする。


プラトゥーナム市場の露店

でも、滞在が長くなってくると、「仕方ないよね〜、所詮あなたたちはタイ人で、ワタシたちは日本人なんだしぃ」と、潔く開き直ることもできる。つまらない不公平感も感じなくなる。ところがだ、この開き直りが通用せず、不公平を通り越して屈辱さえ味わわされるときがある。それは服を買うときだ。

ワタシがタイに住み始めた5年前は、ダブダブTシャツにぴたぴたジーンズというのが、タイ人女性の普段着兼お出かけ着の定番コーディネートだった。「うわっ、いかにも東南アジアってカンジ」と思ったそのときは、露店で売られる服に購買意欲をそそられることはまったくなかった。

ところがこの1〜2年は、雑誌などから情報を仕入れてくるのか、日本の流行とほぼオンタイムのファッションがバンコクの街でも見られるようになった。露店の服も年々イケてきている。しかも安い。199バーツ(約600円)が一番標準的な価格帯なので、衝動買いをしても懐も痛まない。

しかし。買う金があっても、服の方から無言の抵抗をしてくる。どれもどこかの部分が小さくて着られないのだ。シャツであれば胸回り。胸だけならともかく、腕回りが小さくて腕が曲げられないという代物にも出会った。あとは肩幅。ちょっと腕を前に寄せると肩から背中にかけて生地がぴぃーんと張りつめる。

身長は少し低目かもしれないが、Mサイズや9号の服を長年着てきたワタシには、フリーサイズとうたわれる露店の服に拒否されるほど余分な肉はついていないハズだ。いやいや、ちょっと待てよ。タイのフリーサイズって、“平均的なタイ人女性の体型”に合わせてあるんじゃないか?

日本ではJIS規格の体型をしていても、ここタイでは胴長短足ケツでか。服の方から暗にお断りされても仕方ないのである。でもお断りされた事実に気づくのは、家に帰って試着したとき。過ぎたるは及ばざるがごとく、その服たちは知り合いのタイ人女性のものになっていく。試着をしないで服を買うのかと思われるかもしれないが、露店で試着をしろという方が無理な話なのだ。

だが、タイの衣料のパターンというのは実にまちまちで、あるときは着られたり、あるときは着られなかったりする。確固たる規格というものが存在していないからだ。パタンナーはおそらく、自分や周りにいる人のサイズを参考にパターンをひいているとしか思えない。

タイ人女性はそれを百も承知なのか、ジーンズのようにサイズのバリエーションがあるようなものでもそのサイズを参考にしない。スカートやパンツのようにウエストのサイズで決定するような服の場合は、そのウエストの部分を首に巻きつけてみるのだ。

タイ人の中には、「首回り=ウエストの2分の1」という公式があるらしい。巻きつけたスカートやジーンズのウエストが自分の首回りより大きかったら、それは履けることになる。逆なら履けないということだ。これは試着室なんぞない露店で服を買うときの、生活の知恵というべきなのか。

それを知ってからはワタシもジーンズを首に巻きつけてから買うことにしている。だけど、本当にワタシの首回りがウエストの2分の1の長さなのかは、未だに測る機会がないままでいる。

 

 

第8回:買い物をする―タイ人も敬遠する“メイド・イン・タイランド”

 
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