第21回:タイは日本をこう見てる・日本人の好印象度
更新日2003/01/30
外国人として日本以外の国に長期滞在する身になってつくづく思う。幸運なことに、ワタシは自分が日本人だということであからさまに嫌悪を示されたことはまだない。でも、このタイでも差別とまではいかなくとも、特定の人種に対する嫌悪の情は確実に存在する。
タイ人がまず嫌う人種はインド人だ。タイにも多くのインド人が住みつき、インド系タイ人となっている人すらいるのに、その嫌悪感は薄れることがない。体臭がする、態度が図々しいからなどと嫌う理由は極めて幼稚だが、嫌われる側はそんなことを微塵も気にする様子もなく、その態度がまた嫌われる原因なのかしらとも思ったりする。
ちなみにインドだけではなくて、その周辺諸国の中東と呼ばれる地域の人々もしっかり含まれる。その辺りの国から来た人をまとめて指す、“ケーク”という言葉もあるくらいだ。この“ケーク”、他には“お客さん”という意味を持つため、良い意味なのか悪い意味なのか、その真意を測りかねてしまう。

インド人街の映画のポスター
そして黒人。バンコクにはアフリカ系の黒人が多くたむろする地域が数カ所ある。彼らはタイで衣料や雑貨を作らせ、それらを本国に輸出している。彼らの傍若無人さが癇に障るのか、それとも商売上手なのが妬ましいのかは不明だが、とにかく評判が悪い。
そこへ来ると、日本人は小賢しいタイ人のカモになることはあっても、面と向かって敬遠されることはほとんどない。いや、興味を持ってもらえる確率の方が高いかもしれない。人種にまつわる変な先入観が少ないというのは、実にありがたい話である。
過去の戦争において、日本の仕打ちを未だに癒えないしこりとして抱えている国の人もいるだろう。ワタシの知り合いで台湾に留学していた女性は、現地の老人に石を投げつけられたことがあるという。個人ではなく人種に対する怨恨は、根が深く、重い。
タイにも戦争を介した日本とのしこりがないわけではないのだが、日本軍がタイに進駐していた時期を舞台とする、タイ人女性と日本人青年将校の悲愛を描いた有名なタイ小説、『クーカム(邦題:メナムの残照)』のおかげでそれが随分和らいでいるような気がする。
タイ人の人気スター、トンチャイが演じた主人公の青年将校コボリは、精悍で真摯な男性だった。トンチャイの端整な顔立ちに役のキャラクターを重ねて、日本人という人種を思い描いたタイ人は多いに違いない。
話は変わるが、タイでは色の白い人が断然モテる。常夏の国だからだろうか、好んで陽灼けをしようものなら、たちまち変人扱いされてしまう。そうでなくとも毎日のように陽差しは鋭く、油断するとあっという間に灼けてしまうのだから、特に女性は直射日光下に肌をさらそうなどという気は起きないだろう。
灼ける、灼けないに関わらず、世間一般のタイ人の肌は褐色をしている。日本人で程よく陽灼けをした人の肌の色くらいだと思った方がいい。日本人や欧米人といった外国人からすれば、その肌の色はオリエンタル的な美しさを感じる要素になっているのだが、タイ人の間ではなぜか好まれない。
色の白い人がモテるのは、それが美の基準になっているからである。白い肌は美しい。ちょっとお顔の造りがイマイチでも、白い肌をしていればそれだけで「かわいい!」と思われてしまうのだから、ある意味画期的な基準かもしれない。
いくら白い、白いといっても、それは透き通るような白さではなくて、一般的な日本人が持っているレベルの肌の色を指している。そのレベルでもタイ人にとっては充分白いので、自ずと日本人も「かわいい!」と思われるハメになる。
相手が外国人でなくとも、自分がどう思われているかというのは気になるところ。そういう意味では日本人はタイではまずまずの印象といっても良いと思う。それを更に良くするも悪くするも、ワタシたち日本人にかかっている。
第22回:タイの象・その知られざる苦難
