第18回:タイは日本をこう見てる・タイ人的日本観
更新日2003/01/09
バックナンバーを振り返ってみると、タイ人は相当日本事情に通じているのではないかと思われる人も多いと思う。それは当たっているようで当たっていない。主観的な意見や知識はときとして事実をゆがめるため、少数派の人たちが日本全国を闊歩しているようなイメージを持たせるからだ。
「日本人は高い給料をもらっている」
確かにタイと日本の経済格差を考慮すれば、日本人の所得はタイ人のそれをはるかに上回る。ワタシが新卒で勤めた会社の初任給は18万円だった。タイバーツに換算すると約6万バーツ。会社の中でも役職のうんと高い人でないともらえない額である。

ワット・ポーの石像
しかし、もらう額だけでなく、出ていく額も大きい。18万円の中から、所得税、家賃、光熱費、電話代、食費、交際費などのもろもろを引いていくと、どのくらいが手元に残るのか。そのことをタイ人は考えたことがない。
「日本は物価が高いところだ」
日タイの物価比較にはラーメンが例として使われる。ラーメン1杯いくらか?と聞かれ、200バーツ(約600円)かなあと答えると、うわあああと情けない声を出される。タイではその10分の1の値段で食べられるからだ。
所得に関して言えば、タイの大卒初任給はほぼ1万バーツ。日本の6分の1。物価はラーメンを例に取れば10分の1になる。物価は確かに高いかもしれないが、それを真の意味で理解しているなら、“日本人は金持ちだ”などとほざいてほしくない。
「日本人は魚を食べるのが好きだ」
寿司や刺身を食べる国民だから、というのがその理由らしい。ただワタシの見る限り、それはある一定以上年齢がいった人たちの話で、20代や30代の若い人たちは魚が苦手か嫌いな人が多いような気がする。
寿司や刺身が毎日の食卓に上るわけもなく、日本古来の和食といった食生活は、わざわざ見直されるほど現代日本人の生活には根付いていない。ワタシなどは、カレー、ハンバーグ、スパゲティの世代なのだと一体誰が知るだろう。
「日本人男性は女好きだ」
バンコクには有名な日本人街、タニヤ通りという場所がある。日本人男性向けの夜の遊び場が軒を連ねるところだ。駐在員は接待の場として利用するし、観光客はそこで思いっきりハメを外す。
需要があるから供給するのか、供給されるから需要があるのか、その真偽の程は定かではないが、そのお相手となっているタイ人女性はなんなのだろう。場所をパタヤに変えれば、「欧米人男性は女好きだ」とも言うことができる。
「日本人は優れた能力を持っている」
タイには日本という国についてのドキュメンタリーが驚くほど少ない。日本は世界のさまざまな国を舞台にテレビ番組や映画や小説を創ることが可能だが、タイはそうはいかない。予算もそうだが、国としての信用度が低く、先進国への入国すらままならない。だからタイ人は“TVチャンピオン”で、日本人の人間としての能力を測る。
日本には社会の規律から外れて生きている人もいるし、犯罪を犯す人もいるし、人に言えないような職業に就いている人もいる。タイにもいる種類の人は日本にもいる。日本という国が模範的な人間で埋めつくされていると思うなら、それは大きな誤解である。
こう言ってくる人がいる度に、誤解を修正し、真実を伝える。なんだ、日本は思ったより良い国じゃないじゃないか。タイの方がずっと住みやすいよなあ。そう思わないか?
だからワタシはタイに住みに来たんじゃないか。そんなことは言われなくても、日本人であるワタシが一番よく知っている。
第19回:タイは日本をこう見てる・若者よ学べ日本語
