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そして、その不思議さに無自覚なまま、何かの拍子に
暗い迷路に迷い込んでしまいかねない危うさ
価値のグラウンドそのものが異なれば
象徴シンボルや合言葉キーワードや符丁サインといった媒体メディアが
たちまち力を喪失する、あるいは
意思の伝達そのものを阻害しかねないという危険……
かつて一つの部族が、あるいはコミュニティが
彼らの象徴シンボルとも言うべき紋が染め抜かれた
一本の旗を掲げた時
そこに翻ひるがえっていたのは単に一枚の布ではない
それは、彼らの歴史や価値や
痛みや喜びや決意が
未来に向けて掲げられた
意思そのものではなかったか
それが彼らの望む未来を
結果として切り開いたにせよ
あるいは切り開かなかったにせよ……
たった一人の想念と世界を抱きかかえながら
無数の他者によって構成される複雑で巨大な社会を生きる
人間という存在の不思議
ちっぽけな想念と動かしがたく不可解な社会とを
幻のようにつなぐ媒体メディアの不思議、そして危うさ
私たちの世界が
それを構成する脈絡をどこまでも失い続けていく流れの中で
私たちの知覚のシステムはこれから
はたして何を介して、何を頼りに作動するのだろうか
どんな象徴シンボルや合言葉キーワードを、自分たちのものとして感受するのだろうか
はたしてどんな旗を
未来に向けて
掲げ得るのだろうか

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