■鏡の向こうのつづれ織り 〜谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空
二 真一文字の大地の傷  2/2
更新日2007/05/17
 


もちろん人間は古くから
路という名の傷を大地に刻んで生きてきた
人間ばかりではない
トナカイにはトナカイの路があり
狼には狼の路がある
生命を維持する一つのテリトリーを機能させるために
あるいは更に、そこから
もう一つのテリトリーへとつながるために
営々と張り巡らされてきた
獣たちの、そして人間たちの路

とはいえ
いったいどんな獣の路が
これほどまで真一文字に
これほどまで長く
森を貫き河を越えて続くだろうか
どこまでも、どこまでも続く直線がもたらす異和
それは人間という名の動物の奇妙さの顕われ

誰かが紙の上に定規で引いた一本の鉛筆の線が
そのまま大地に刻まれる不気味

視界をさえぎる雲の切れ間からのぞく灰色の雪原

眼を閉じれば
イメージの中の大雪原をトナカイが走る

眼を開ければ
どこまでも延びる一本の道

その直線の上をいまも走るものは

何……?

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