■鏡の向こうのつづれ織り 〜谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空
二十三 夢のかたち 2/2
更新日2008/03/06
 



そのかたちとありようが人の在りように映る
その人の今という時の確かさをつくる
凍える大地の片隅に
霧に包まれてひっそりと佇む家
かつてここを自らの居場所と思い定めた人が
現にいたのだという不思議

それが主体的にだったか
それとも止むを得ずだったかなどということは
たいした問題ではない
大切なのはそこで
暮らし暮らし続けた人が現にいたという事実
ながい物語を紡ぐようにそこでだれかが
命をつなぎ続けてきたという事実

きっとそこでは夢が
また来る春を想って落ちる枯葉のように大地に落ちた
大地を覆う霧のように家を包んだ
暖炉の残り火のようにしずかに頬を染めた
人は誰でも
自分と、そして
誰かの居場所をつくろうとする
その誰かが、必ずしも
家族であるとは限らない
その場所が、必ずしも
ここであるとは限らない
ここであろうとなかろうと
その場所が、どこか遠くの、いまだ存在しない
その姿も見えぬ架空の場所でしかなかったとしても
あるいはその誰かが、どこかにはきっと居ると思える
いまだ顔もしらない幻想の仲間であったとしても
それでも人は、家をつくるように、集落をつくるように
自分の、そして自分たちの居場所をつくる

人が人であることの切なさを、そっと
あこがれという縦糸に織り込みむように、しめやかに



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