■鏡の向こうのつづれ織り 〜谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空
二十一 愛のように、言葉のように 2/2
更新日2008/02/21
 



家族であれ、恋人であれ、友人であれ
人は人として生きるために人を必要としながら
しばしば身近な人をわけもなく疎んじ
そのくせすぐにまた
人を求める
そんな人間たちが
まるであたりまえのように
家をつくり、路をつくり、街をつくり
そこで暮らしを営み、そして
営々と営み続けてきた

森を必要としながら、そこから離れて街を造った
水を必要としながら、雨を凌ぐ家を造った
人を必要としながら、人を遮る壁を造った
そのくせそこから
人が行き交う路につながる扉を造った

人のいじらしさは
なにもかもが矛盾の塊だということだ
なにもかもを求め続け
なにもかもを拒み続けてきた
愛のように、言葉のように……
小さな窓から射し込む外の光
窓と、そこにはめ込まれた硝子が
内と外とを隔て
そして絆(つ)なぐ

人が自然と共に在ることの
ささやかな証のような
窓のそばの植木鉢
大地から切りとられた土の上の自然

窓の不思議さは人の不思議さ
それをとおして窺(うかが)い知る等身大の気配
そこから広がる果てしない世界

閉ざされた窓から見えるものは自分
開かれた窓から見えるものは世界
自分と世界とを、窓が映す



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