のらり 大好評連載中
 
2017/04/20掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第626回「国鉄型車両の旅 − 特急つがる2号 2 −」
特急“つがる2号”は奥羽本線を南下している。白神山地と奥羽山脈に挟まれ、弘前と大館を結ぶ山の中。難所の矢立峠を全長3kmのトンネルでくぐり抜ける。大雨や大雪で運休しやすい区間だ。私は今までに2度、寝台特急“あけぼの”の運休に遭遇している。あけぼのではなく“まけぼの”であった。しかし今日は晴れている。オレンジ色の朝の空から力強い光。車窓は雪景色。どのくらい積もっているだろうか。駅を通過するとき、ホームの端のほうは除雪されていなかった。線路からプラットホームまでの高さと、プラットホームに積もる雪の厚みがほぼ同じ。1メートルくらいだろうか。雪には吸音効果があるようで、列車の走行音以外は聞こえない。晴れて、静かな車窓。ちょっとした異空間だ。大館に着いた。向かい側のホームが見える。乗降客の姿はなし。峠に向かう方向に通勤や通学の客はない。駅名標のそばに犬の絵がある。花輪線終着駅という看板が添えられている。記念写真用だろうか。

杉山 淳一

杉山 淳一

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2017/04/20掲載
■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第325回「流行り歌に寄せて No.130 「唐獅子牡丹」〜昭和40年(1965年)」

以前にも何回か書いているが、私は昭和から平成に元号が変わる頃から8年ほど、断続的にいくつかの原子力発電所で放射線管理業務に携わっていたことがある。サイトに滞在していたのは、この間全部合わせてで4ヵ月ほどになったと思う。作業場である原子炉建屋に入る際は、それこそパンツ一枚を残して、下着からすべて防護服に着替えるわけである。それぞれの持ち場は違っても、同時に何十人もの作業員が一箇所で同時に着替えるのだが、その場で背中に彫物をしている方々を、かなりの数見た記憶がある。彼らは、今の私とほとんど変わらぬ50歳代から60歳代の人々が大半を占めていた。だから、40歳代前半までの勢いのある肌とは違い、施された例えば般若の面の彫物も、何か縮こまっていて、まるで泣いているような表情を見せていた。但し、狭い場所ゆえに身体をぶつけてしまった時、一瞬見せる彼らの睨みが効いた表情には、こちらを竦ませるには充分な力があった。
金井 和宏 金井 和宏 

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2017/04/20掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部女傑列伝 4
 
第1回「パール・ハート 〜遅れてきた女性駅馬車強盗の生い立ち」 [新連載] 

カラミティー・ジェーンは"草原の女王"、ベラ・スターは"女ジェッシー・ジェイムス"、アリスはそのまま"ポーカー・アリス"と、まるで襲名披露のように渾名、公称が付いているが、このパール・ハート(Pearl Hart)は"唯一の女性駅馬車強盗"というものだ。パール・ハートは遅れてきたパイオニア・ウーマンだった。べラ・スター、ポーカー・アリス、カラミティー・ジェーンよりおよそ20年遅れた1871年(1870年という説もある)にパール・テイラーとして生まれている。場所はカナダのオンタリオ州、リンゼイで両親ともにフランス系だった。1871年といえば、すでに西部開拓時代は終焉を迎え、残照だけが奥地に残っている時代だ。大陸横断鉄道は1869年に貫通していた。パールが西部辺境に身を投じなければならい理由はまったく見付からない。ただ、西部開拓の余熱に当てられたとしか言いようがない。パール・ハートを特徴づけるのは、彼女の底抜けの快活さ、表情の豊かさ、それがはち切れんばかりに小さな体に・・・

佐野 草介 佐野 草介 

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2017/04/20掲載

■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第509回「修理からパーツ交換〜職人受難の時代」
 
日本の叔母さんが亡くなり、形見として型は古いけれどかなり高級そうな腕時計を貰いました。なにぶんにもリューズを手で巻く、いまどき珍しい手巻きの時計です。毎日一回、朝起きた時にネジを巻くと、さて、今日も一日働くとするか…という気持ちになるので、私は手巻きの腕時計が大好きなのです。デジタルや液晶などは薬にしたくもありません。ところが、この手巻き時計、私が余りにきつくネジを巻き過ぎたせいでしょうか、動かなくなってしまったのです。そこで、この町の時計、宝石店を数軒廻りました。「これはよい時計ですね」と言われるまではイイのですが、「メーカーに送らなければなりません。ここでは修理できません」と繋がっていくのです。メーカーにも問い合わせましたが、修理、分解掃除のお値段たるや、セイコー、シチズンの新品が買えるほどなのです。一昔前…というと年寄り臭いですが、どこの町のメインストリートの片隅に…

グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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2015/10/15掲載

■現代語訳『枕草子』
〜表現哲学詩人谷口江里也が翻訳

第17回「市は、辰の市」  
市は、たつの市、さとの市、海石榴(つば)市など、大和には市のついた町がたくさんあるけれども、長谷寺にお参りをした人が、必ずのようにこの地に泊るのは、観音さまとのご縁を大切にしたいという、特別の気持があるからだろう。ほかにもこのあたりには、おふさの市や、しかまの市や、もちろん飛鳥の市もある。峰といえば---峰といえば、ゆづる葉の峰、阿弥陀の峰、そしていやたかの峰。原には---原には、みかの原、あしたの原、園原なんていうのもある。淵には---淵には、かしこ淵というのがあるけれども、一体どういう気持で、どなたがそうと教えて、そんな名前になったのだろう。青色の淵なんていうのも面白い。まるで蔵人が着るお召しのよう。ほかにも、隠れの淵や、いな淵なんていうのもあって面白い。海といえば---琵琶湖のみずうみ、与謝の海、そして、かはふちの海。陵には---陵みささぎには、うぐいすの陵、かじはぎの陵、そして、あめの陵などがあって、どれも歌に歌われして風情がある。

谷口 江里也 谷口 江里也

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2017/03/30掲載

■よりみち〜編集後記  

インターネットによるIT技術や科学技術がますます進化する一方で、世界中で退化や劣化現象が起こっているのが不気味でしょうがない。明るい未来の展望が語られている隣で、100年前の世界を理想化して逆戻りしたがるスーパーナショナリズムの人々やネトウヨたちが声を上げ始めている。ことの起こりはよくは分からないが、アルカイーダによる9.11のNYテロあたりからかもしれない。アフガニスタン内戦、イラク侵攻、アラブの春、ISの台頭、シリア内戦、そして政情不安からくる激増する移民・難民問題、イギリスのEU離脱や難民受入拒否を契機とするネオナチ的な排外主義政党の躍進と繋がり、今年2017年にはまさかのトランプ大統領の誕生と、まさに坂道を転げるように保護主義や超保守政党が世界中に拡大している。この世界的な現象はやはり格差社会の歪みからきているのだろう。「世界の資産保有額の上位62人の総資産は、下位50%(36億人)の人々の総資産に匹敵」<オックスファム;経済格差に関する最新報告書『最も豊かな1%のための経済』>

よりみち 「のらり」編集部

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  ■フロンティア時代のアンチヒーローたち [全151回] 〜西部アウトロー列伝 Part1:Butch Cassidy(ブッチ・キャサディ)
佐野 草介
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■グレートプレーンズのそよ風 [計28回] 〜アメリカ中西部今昔物語
Grace Joy(グレース・ジョイ)
グレース・ジョイ
■貿易風の吹く島から [全157回] 〜カリブ海のヨットマンからの電子メール
佐野 草介
佐野 草介
■くらり、スペイン [計94回] 〜移住を選んだ12人のアミーガたち、の巻/〜イベリア半島ふらりジカタビ、の巻
湯川 カナ
湯川 カナ
■拳銃稼業 [全58回] 〜西海岸修行編
中井 クニヒコ
中井 クニヒコ
■現代語訳『風姿花伝』 [全63回]
 〜世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳

谷口 江里也
谷口 江里也
■随想『奥の細道』という試み [全48回]
 〜谷口江里也が芭蕉を表現哲学詩人の心で読み解くクリエイティヴ・トリップ

谷口 江里也
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■鏡の向こうのつづれ織り [全24回] 〜谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空  
谷口 江里也
鏡の向こう
■もう一つの世界との対話 [全24回] 〜谷口江里也と海藤春樹のイメージトリップ  
海藤 春樹_人形_IMAGES 谷口 江里也_詩_TEXT
もうひとつの世界
■岩の記憶、風の夢 [全57回] 〜my United Stars of Atlantis
谷口 江里也
岩の記憶

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