■新・汽車旅日記 ~平成ニッポン、いい日々旅立ち 第737回「新横浜~福井~東京、ぐるり一周(3)- えちぜん鉄道 -」 福井商工会議所の最寄り駅は福井鉄道福武線の商工会議所前駅だ。わかりやすい。福井駅前から路面電車に乗って10分ほどだ。それを遠回りして行く。私はJR福井駅の改札を出て南口を出た。福井鉄道の駅とは反対側だ。工事中の新幹線高架駅を通り過ぎれば、えちぜん鉄道の福井駅がある。赤くて四角い建物だ。2月に来たときは外観ができあがっており、壁の赤色はサビ止め塗装の色だと思った。しかしこれが本塗装で、木材を使った内装と相性の良い“さび色”にしたという。プラットホームの天井は永平寺の格天井を模したという。ならば建物は朱色にしたと言えばいいのに、さび色である。鉄道の鉄のイメージを重ねたか。プラットホーム階の側面はガラス張りで電車が見える。鉄道模型の陳列ケースのようでおもしろい。格天井も見えるけれど、磨かれたガラスのせいで向かいの建物と青空と雲が映り込んでいた。
杉山 淳一 ※只今休載中 バックナンバー
2024/03/28掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第476回「流行り歌に寄せて No.271 「ふりむかないで」~昭和47年(1972年)4月10日リリース」 ライオン油脂が、昭和46年から始めた「エメロン・クリームリンス」のCMの、CMソングとして歌われた、私たちには懐かしく、たいへん馴染みの深い曲である。ある都市の人通りの多い街角で、マイクを持った男性が、若い女性に話しかける。相手の女性は一人の時も、二人の時もあり、またひと組の男女のカップルの女性側ということもある。大抵のケースは、マイクの男性が簡単な雑談から入り、髪の美しさを褒めたあと「エメロン・クリームリンス、ご存知ですか? これ、差し上げます」と言ってボトルを渡す。その時に、エメロン・クリームリンスのボトルと、200円と書かれた文字の映像が一瞬映し出される。そして、最後に「ちょっと後ろをふりむいてください」と誘い、彼女(たち)が振り向くと、そこにはカメラマンが彼女らを撮っており、女性側が驚きの声をあげる…
金井 和宏 バックナンバー
2024/02/01掲載
■インディアンの唄が聴こえる 第52回「終章」 ※最終回 組織として軍隊は、通常の人間性を消し去るように兵隊を訓練するものなのだろうか? そして、もし私自身が戦時中に関東軍の一兵卒として招集され、中国の普通の人、女性や子供の“試し切り”を強要されたなら、憤然と拒否するガッツもなく、上官の命令に従ったかもしれないのだ。そして、それをウジウジと悔やみ、悪夢に苛まれながら一生過ごしたかもしれないと思う。いや、逆の立場で、私自身が“試し切り”される立場だったなら、深い遺恨を残さずに殺されたとは思えない。 よく、軍の内部に身を置かない限り、軍隊内にある異常な圧力は理解し得ないと言われるが、北原泰作二等兵(※)のように体を張って抵抗した人物もいたし、ほかにも不服従を貫いた兵隊もいたのだから、軍にあっては絶対服従が至上命令であり、それに抵抗することなど不可能だったとは言い切れない部分が残る。 サンドクリークの大量虐殺の時に、上官のシヴィングトンの命令を憤然と無視し、反対したサイラス・ソウル大尉のような…
佐野 草介 バックナンバー
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第844回「冬山での雪崩の恐怖」 今年のスキーシーズン、無事に終え、帰ってきたところです。私たちが過ごすスキー場はロッキー山脈の分水嶺に近く、標高が富士山のテッペンくらいの高さがあります。スキー場自体管理がとても良く行き届いていて、ゲレンデ・スロープ、林間コース、冬山歩くスキー、山スキーができるところなど、とてもバラエティーに富んでいます。ヨチヨチ歩きの子供から、エキスパートまでのスキー教室も開かれていますが、ほかに山林自然ツアーとか、冬の動物たち、小鳥を観察する雪山散策などがあり、私たちも二度そんなロッキーの自然をもっとよく知るための雪山ツアーに参加したことがあります。そんな様々な企画の中でユニークなのは、雪崩を知り、どう対処するかのクラス、研修会です。自分で参加したことがないのに、語るのはチョット気がひけるのですが、何度も雪崩研修会の実地を見ているし、すぐ近くで、何をやっているのか観察しましたから、マアー、ほんの少し語ることができると思います。
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
■ドレの『狂乱のオルランド』 ~物語の宝庫、あらゆる騎士物語の源 第8歌 騎士たちとアンジェリーナのその後 第1話「正気に戻ったルッジェロ」 さて前回は、ブラダマンテが苦労して手に入れた、あらゆる魔法の力を消し去る指輪を、良き魔法使いメリッサから手渡され、ようやくもとの凛々しき騎士に戻ったルッジェロが、たちまち邪悪な魔女アルチーナの正体を見破ったところまでお話しいたしました。それにしても、人間の世界はなんと邪悪な魔法や呪術に満ちていることでありましょう。嘘やペテンや策略や陰謀、こうした誰かをたぶらかそうという悪意や、そのための手練手管も考えてみれば呪術のたぐい。美味い話や甘言だって、あなたの心を手玉に取る魔法の一種。いかにアルチーナの魔力が並外れていたとは言え、凛々しき騎士ルッジェロでさえ、偽りの魅力に翻弄されて身を滅ぼすところだったのですから、誰だって、いつどこで何の拍子に奇妙な魔法にかかってしまうかわかりません。 とはいえありがたいことに、そのままではどうなったかわからないルッジェロを、良き魔法で邪悪な魔法から…
谷口 江里也
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■よりみち~編集後記 自民党の裏金問題は全く反省もなく、いつもの得意技である“忘れるのを待つ作戦”で終わる可能性が高くなってきたようです。そもそもこの自民党の裏金問題は、派閥からのキックバックを収支報告書に記載しない脱税行為のわけで、裏金だキックバックだと言われていますが、脱税のためのマネーロンダリングであり、ヤ〇ザ組織が専売特許の脱税なのです。それがどういうわけか、政治家という肩書があれば、政治資金の単なる記載漏れで、修正報告すれば全く罪に問われないという全くナンセンスな法解釈で誰も逮捕されたり、追徴課税されたりしないのです。この自民党の裏金づくりはすでに30年以上前から行われていた報道があり、今回の議員証言からは間違いなく20年以上前から行われていたことが判明しています。それではなぜ裏金づくりがパーティー券購入資金の流用で行われてきたのでしょうか? 企業からの政治献金が国会内で問題化して、自民党議員と企業の癒着が騒がれるようになり、パーティー券を20万円を超えて購入した個人や団体の名前や金額を、寄付の場合は5万円を超え…
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■鏡の向こうのつづれ織り ~谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空 [全24回] 谷口 江里也
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